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11.52022
温度について
爬虫類は変温動物で自分で熱を生み出すことが出来ません。
体温=外気温となります。なので基本的に温かい部屋で飼育する必要があります。
では、爬虫類はどれくらいの温度が必要でしょうか?種類(原産地)によって温度帯は多少変わりますが、26~32℃くらいの温度帯のことが多いと思います。
この温度帯ってドコの温度だと思いますか?
それは、当然ながら先ほどお話した外気温(気温)です。
気温とはつまり部屋の空気の温度です。これが重要です。
これは温度計(室温計)が無いと測ることが出来ません。
エアコンのリモコンの温度表示は気温ではありません。エアコンが頑張って温める目標の温度です。
極端な話、南極で6畳用のエアコンを28℃設定にしても、それはエアコンが28℃になるように頑張るだけで、実際の気温はおそらく氷点下です(けど、エアコンのリモコンは28℃と表示されるはずです)。
これと同じで、底面ヒーター(表面温度26℃のことが多い)も表面温度は26℃でも、これは気温ではありません。
繰り返しになりますが、気温(空気の温度)が重要です。
これが、なかなか飼主様に伝わらない!
「とりあえず100均の温度計でもいいからつけて下さい」(当然、高精度の方が良い)、
「まず、温度計を付けましょう」、
「お願いだから、温度計つけてください」、
と言っても「暖房はつけましたが、気温は分かりません」と答える飼い主様が意外と多いです。
病気にならない飼い方でもお話しましたが、温度(気温)管理ができていないと、他のことを頑張ってもすべて無駄になります。
なので、まず温度計を付けましょう。
そして、温度計を付ける場所についてです。
当然ながら暖房器具の近くは温度が高く、遠くは低くなります。また、暖かい空気は上に昇り、冷たい空気は下に溜まるという性質があります。みなさんも冬場室内で立つと温かいけど、足元は冷えるという経験をしたことがあると思います。
まず爬虫類の生活スペースに1つ置いて気温を把握すること、あとは部屋の中で一番温かくなるところと寒くなるところの把握(何℃くらいになるのか)をして頂けたらと思います。部屋の中で温くなるところが見つかれば、そこにゲージを移動させるのも良いと思います。
また、
「建物の構造上、温度が上がらないんです」、
「一軒家で部屋が寒いんです」
とおっしゃる方もおられますが、
温度は上がるのではありません、
温度は上げるんです!
色々事情はあるとは思いますが、温度管理は爬虫類にとって必須事項です。
なので、何とか温度(気温)は上げるしかありません。
そこで、私がおすすめするのは温室です。
温室を作ればその中の気温は一定になりやすいので、管理もしやすく条件によっては電気代も安く抑えられます。
一番手っ取り早いのは、一部屋を全部温室にする方法です。気温は上げる(冷房なら下げる)時に電力を消費します。いったん目標気温に達してしまい、温室内のの気温が下がらなければ電力はあまり消費されません。なので断熱性の高い部屋であればそこまで電気代はかかりません(当然、普通の家よりはかかります)。
「さすがに部屋丸ごと温室にはできません」という方は簡易温室をお勧めします。
最近は”爬虫類 温室”と調べると園芸用の温室や、ほぼそれと作りが同じの爬虫類用簡易温室が見つかると思います。(特注の温室や自作のしっかりとした温室の方が管理はしやすいですが、それをされる方は多分私のアドバイスは不要で、十分な温度管理をされている方だと思います。)
温度(気温)、食餌を気を付けていればそうそう病気にはなることはないと思います。
また補足として、
種類(原産地)によって最適な温度帯は違うのですが、それから少しでもはみ出したら、病気になる・死んでしまうかといったらそうではありません。ある程度、融通は効きます。
例えば、私がマレーシアに旅行に行った時のこと、
昆虫採集をするためにクルマでガイドに山の上の方まで連れてってもらいました。
すると、寒い!!マレーシアの平均気温は27~30℃なのですが、明らかにこの日は半袖では寒かったです。おそらく20℃前半でした。当然、自然なので極端に暑い日もあれば、寒い日もあるはずなのです。そして、この山にも爬虫類はいるわけでトッケイヤモリ、ブラッドパイソンがこの地域に住んでると考えると「ある程度融通は効くんだな」と思いました。ただ、ずっと寒いのはやっぱりダメなんだと思います。
またこの時、「野生環境がベストの環境ではないんだな」ということを痛感しました。
店長 兼 獣医師 中嶋 光