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ブログ
11.32022
病気にならない飼い方

絶対に病気にならない飼い方はありません。
しかし、おそらくほぼ確実に病気になるであろう飼い方はあります。逆に病気になる飼い方がわかれば、それをやめれば病気にかかりづらくなるといえます。
病気には原因があります。例えば感染症(コロナウィルスを思い浮かべてもらえるとわかりやすいと思います)を例に挙げると、感染源が多ければ(密な状況や感染者が多い地域)それだけ感染を起こしやすいです。感染源が少なかったとしても、本人の免疫が下がっていれば(お年寄りや疲労など)感染を起こしやすくなります。
これはヒト以外の動物も同じです。病気について(基本的な考え方)でもお話しましたが、特に爬虫類は病気になってからでは治療がうまくいかないことが多いです。
病気にならない生活(飼い方)をすることがとても重要となります。
病気にならない飼い方とはどういうことでしょう?
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逆に病気になる状況を考えるとわかりやすいと思います。普段の生活で私たちが
「病気になるんじゃないか?」と思うときはどんな時でしょうか?
- 寒い(季節の変わり目・雨に濡れた・おなかを出して寝ていた)、暑い
- 偏った食事、極端なダイエット、飲みすぎ、食べ過ぎ
- 身の回りの環境の変化(転職・結婚・出産・身内の不幸)
- 過度なストレス(働きすぎ・恐怖・騒音等)
- 病気の人が周りにいる(家族がコロナになった等)
- 高齢
これはヒトにおける一例ですが、ヒト以外の動物や爬虫類も基本的には同じです。
本来ヒトを含めた動物は病気にならないための防衛機能が備わっています。それが何らかの原因で突破されたときに病気となります。
生まれつきの病気や形態的な異常(体内も含んだ奇形など)は飼い方で防げることは少ないですが(クル病や背折れなどは防げます)、細菌・ウィルス・寄生虫に関しては免疫によって防ぐことができます。
また、食事や飼育の仕方で骨代謝性疾患、ビタミンA欠乏症、繁殖関連疾患(卵詰まり等)もある程度防ぐことができます。

特に私は免疫を下げないことが何よりも重要と考えています。
爬虫類の飼育で免疫を下げないために最低限守るべきポイントは、2つだと思います。
それは、
温度と食事(詳しい管理は、温度について・食事について)です。
当たり前だと思われる方はおそらく、おうちの子達は病気になりづらいでしょう。
しかし、動物病院で働いていると意外とこの2つをできていない飼い主様が多いです。
温度に関しては
- 暖房はつけているが温度計はない
(エアコンのリモコンの温度しか把握していない) - 暖房はついてるが温度が上がりきらない
(「だって部屋が寒いんだからしょうがないでしょ!」と言われる方もいます) - 「毛布は掛けてます」と言う方
- 「部屋は寒いが底面ヒーターはつけてます」と言う方
(上3つのセリフとコンボでおっしゃる方もいます) - 暑すぎ
(温度計がなく、温度を把握していないことが原因のことが多い)
食事に関しては
- 人工餌を食べない
(冷凍・ドライ・生きた虫を試すべきだが、飼い主様が虫が嫌いでできない) - カルシウム・ビタミンD3をあげていない。または生餌の場合は食べるまでにカルシウム等が落ちてしまっている。
- 餌の虫の栄養価
(ビタミンA等)が低い(飼い主様自ら虫を繁殖させている場合→コオロギが飢餓で共食いをしている状態など) - 解凍したマウス・ラットの再冷凍
などです。
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爬虫類の種類によって温度域、食事の内容は違いますが、日本で一般的に飼育されている爬虫類であれば、まず温度・食事をしっかり管理していれば病気になることは少ないと思います(UVライトの必要な種、水が動いていないと飲まない種は注意)。
逆にこの2つができていないと、他に何をやってもすべて無駄になります。動物病院で治療をしても治るものも治りません。
あと、よく湿度を上げるにはどうしたらいいですか?と聞かれることも多いですが、私は一般的に飼われている種に関しては、湿度はあまり問題とならないことが多いように感じます。そもそも、夏も冬もエアコンを使う環境は乾燥をしやすく、湿度を上げるにも限界があります。湿度が上がらないことによって病気になるような種は日本で広く繁殖されていないと思っています。
当店のトッケイヤモリ達も一番気にしているのは温度と食事です。
そもそも、トッケイヤモリは丈夫で頭のいいいヤモリです。ヒトの方からアレコレやらなくても餌を入れておいて、温度を一定以上に保っていれば元気に育ってくれます。追加で1日1~2回霧吹き(水分補給)をしてあげれば良いと思います。
店長 兼 獣医師 中嶋 光